高校数学の改定が議論されていて,その中の一つに,
ベクトルを削除して統計学を編入する
というのがあります.
これはさすがに良いのかどうか疑問が残ります.
統計学は,データのばらつきを評価する学問です.
身近なところでは,平均の考え方も統計学の範疇に入ります.
また,この学問を勉強することにより,
世の中に溢れているデータが信頼できるものかどうか,
ということを考えることができるようになります.
一方の,ベクトルは,向きと方向を持った量のことです.
また,ベクトル同士の掛け算や,行列計算と結びついたりします.
このベクトルは,物理学などで大いに活躍する内容で,
いろんな分野に応用できる基礎的な内容になります.
統計学は,現実社会に密接に結びついた学問であり,
ベクトルは,学問を理解する上での根幹の学問です.
よく聞く話で,
勉強したって役にたたないでしょ?
というのがあります.
そういう観点からすると,統計学は役に立ちやすい学問だと思います.
なので,一見,この改定は理にかなっているようにも思います.
ただ,
勉強というのはすぐに役にたつようなものではありません.
そもそも,何かに興味をもったり深く考えたくなる時に,
その考え方や道筋を教えてくれるのが大学教養までの勉強になります.
教養は,直接的に役にたつものばかりではありませんが,
それを知っているおかげで,考え方の幅ができ,
身近におきたことを感情や主観に流されずに,
客観的に分析できるようになり,
そして,正確に現象を把握できるのです.
その結果,人生が豊かなものになります.
これは,理系・文系に関係ない話です.
そのように大局的に考えると,
ベクトルはいろんな学問の共通言語的役割を果たしますから,
とても重要な内容です.
統計学は,大学でも教えていますからそのあとで十分こと足ります.
すぐに役にたつ,という微分的な考え方は非常に危険で,
長期的視野を持たないと,目の前の,実は大したことない事柄に振り回されて疲弊していまします.
2018/02/20
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